リハビリテーション


従来、サッカー選手が怪我から復帰するまでのリハビリテーションは、チームトレーニングの内容からは独立した形で行なわれていました。そうすると、その選手がチームトレーニングに復帰するタイミングが来た時、突然サッカーの試合やトレーニングでかかる負荷に対処しなければならない状態が生まれます。このため、個人トレーニングからチームトレーニングへ切り替わるタイミングというのは、選手のリハビリテーションの中で非常に重要な瞬間となります。リハビリ過程でよくみられる事例として、このタイミングで選手に急激に負荷がかかり、怪我の状態が一時的に悪化したり、あるいは再受傷してしまうことがあります。

チームピリオダイゼーションが原点

このように、怪我の状態の悪化や再受傷の最大の原因は、リハビリの個別トレーニングからチームトレーニングという、二つの全く独立したプログラムが突然合併される瞬間にあります。そのため、怪我をして個別のリハビリプログラムをこなしていた選手がチームトレーニングに最初に復帰する瞬間は、嬉しい反面、非常に不安な瞬間でもあります。さらには、もしチームトレーニングにも負荷設定の基準となるピリオダイゼーションがなければ、メディカルスタッフにとってもリハビリプログラムの作成が非常に困難なものとなります。このように、チーム、選手、そしてメディカルスタッフが長年抱えていた問題の解決策として、怪我をした選手のリハビリテーションにおいてのコンディショニングプロトコルを、チームトレーニングの負荷を考慮に入れて考えられたトータルアプローチとしてご紹介していきます。このプロトコルの中では、選手が受傷したその日から、サッカーのためのコンディショニングトレーニングがチームピリオダイゼーションを基に行なわれます。

リハビリテーションピリオダイゼーション

大きな怪我を負ってしまった時、選手は以前のパフォーマンスレベルに戻るためのとても長い道のりに直面します。初期には組織レベル、つまり骨や関節、筋繊維などが再生した状態に戻らなければならず、この段階では医療的なアプローチが必要とされます。

しかし、それと同時にサッカーの特性に基づいたリコンディショニングも始まらなければなりません。このリハビリテーションピリオダイゼーションの中で、選手はチームピリオダイゼーションの負荷を目指して段階的にトレーニングしていきます。つまり、怪我をした選手のリコンディショニングにおいて、チームトレーニングに与えられる負荷が、リハビリテーションの初期段階から選手が目指すゴールとなるわけです。これは、元来チームピリオダイゼーション自体がそのチームで行なうサッカーの戦術面、それに対して必要なコンディション面から考えられた負荷設定であるため、これがリハビリテーションの最終段階で選手が到達していなければならないコンディションレベルとされます。

このようにして、リハビリテーションの初期段階からチームトレーニングの負荷を目指して段階的にリコンディショニングをしていくことで、選手がチームトレーニングに合流する段階でも、急激な負荷の変化や増加を避けることができます。そしてこれまで不安が大きかった、このタイミングでの怪我の状態の悪化や再受傷の可能性を最小限にとどめることができます。サッカーというスポーツが持つ特性と、チームピリオダイゼーションで設定されている負荷に向けての段階的トレーニングは、リハビリテーションの初期段階からすでに始めるべきものなのです。